リンパ腫とは、白血球の一つであるリンパ球が腫瘍化してしまうことで起こる悪性腫瘍です。このリンパ球が血液中にあるため、腫瘍はリンパ節や肝臓、脾臓、腸管、腎臓、皮膚など、犬や猫の体のさまざまな場所に腫瘍が発生する可能性があります。
今回は犬と猫のリンパ腫について、原因や症状、治療方法などを詳しくご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
犬のリンパ腫の原因には遺伝的要因が関与しているとされていますが、その詳細はいまだに明らかにされていません。一方で、猫のリンパ腫の明確な原因は不明ですが、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスに感染しているとリンパ腫を発症するリスクが高くなります。
症状
犬と猫のリンパ腫は発生する場所によって分類され、それぞれで見られる症状は次のようなものがあります。
・多中心型
犬のリンパ腫で最も多く見られ、体中のリンパ節が腫れる症状が現れます。
進行すると肝臓や脾臓、骨や神経にも腫瘍が広がる場合があります。
・消化器型
猫に最も多いリンパ腫で、嘔吐や下痢、食欲不振、体重減少などが見られます。
・縦隔型
胸腔内にできるリンパ腫で、呼吸困難や胸水の貯留などが見られます。
・皮膚型
皮膚に紅斑や脱毛、潰瘍、かさぶたなどが見られ、命にかかわる皮膚疾患と言われています。
・その他
鼻、眼、神経、腎臓、肝臓、筋肉などに発生するリンパ腫があり、鼻にできた場合には鼻汁や鼻血、顔面の変形などが見られます。
また、腎臓にできた場合は腎機能の低下による食欲減退や衰弱などの症状が見られるというように、発生部位によって様々な症状が見られます。
診断方法
リンパ腫の診断には、
・血液検査
・細針吸引と細胞診
・内視鏡検査
・遺伝子検査
・エコーやレントゲン、CT、MRIなどの画像検査
など症状によって様々な検査を組み合わせ、総合的に診断を行います。
治療方法
リンパ腫の治療には、次のような方法があります。
・化学療法（抗がん剤など）
・ステロイド剤
・放射線療法
・対症療法
一般的には化学療法での治療法が用いられますが、リンパ腫の分類や状態に応じてステロイド剤や放射線治療も併用されることがあります。また、対症療法として嘔吐が見られる場合は制吐剤、免疫力の低下による感染が生じた場合は抗生剤を投与するなど、症状に合わせた治療を行う場合もあります。
予防法やご家庭での注意点
犬においてはリンパ腫の原因が明確ではないため、有効な予防法は残念ながらありません。しかし、猫では猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスがリンパ腫の発生に関与していることが認められているため、ワクチンの接種や完全室内飼いの徹底、感染した猫との接触回避によって発症リスクを下げることができます。
また、リンパ腫は早期発見と早期治療が重要なため、何か気になる症状が見られた場合には早めに病院を受診しましょう。
まとめ
リンパ腫は、犬と猫で比較的多く見られる腫瘍です。
体のさまざまな場所に発生し、その分類に応じて経過や治療法が異なるため、早期発見と適正な治療を開始することが重要となります。
普段から定期的な健康診断を受けることに加え、少しでも愛犬・愛猫に気になる症状がある場合には、早めに病院を受診するよう心がけましょう。
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